考える、ということ(Part2)
県立高校の入試問題、まだ全教科精査している訳ではないのですが、
結構、私の雑談が役に立ったかもと思われる場所がいくつかありました。
【国語】
古文の問題は「雪舟」に関するもの。出典は『草双紙』より
生徒の勉強部屋に大きな柱を見つけた私、
「昔、ある坊さんが子供の時、師匠に叱られ、罰として柱に縛りつけられたんだ。小僧は落ちた涙を足の親指につけて、ねずみの絵を描いた。それがあまりのデキだったので、本当のねずみも勘違いした、という話があるんだな。で、この小僧、後に有名な画僧となるんだが誰か知ってるか?」
「雪舟!」
「正解」
「でも、実際、どんなに上手く描けたとしても、すぐに蒸発してしまうのでは?」
「、、、夢の無いヤツだな。まあ アレだ、それだけ絵が上手かったということだ」
実際の入試問題、読解は簡単でしたが、聞いたことのあるエピソードとそうでないのでは気持ちの持ち方が違います。生徒に聞いたところ、古文は全問正解とのこと。国語が平均点とれるかとれないかの生徒だったので非常によかったと思います。
【社会】
問題:近年、国連以外の組織が、国家間や地域間で協定を結ぶ動きが活発になってきている。1990年代になって、FTAを結ぶ動きが世界各地で広がってきているが、FTAを結ぶ主な目的は何か? 「関税」と「貿易」の2語を使い、「加盟国間で」の後に続けて説明しなさい。
以前も書きましたが、個人的に関税に関しては生徒にはしつこく説明します。
ゆうに30分以上は時間をかけているものと思われます。
新聞発表で正解を見ると、
答えは『加盟国間で、関税をなくして貿易を活発にすること』と書いてあります。
、、、
、、、、
、、、、、
いったい、これのどこが答えだというのか!
本質的な問題は「関税」をなくすと、なぜ貿易が活発化するのか? にある訳であって、
このような解答が許されるとしたら、解答を丸暗記して本質に迫らず、ただ上辺だけの点数を得ようとする、ヘンに器用な知恵がついてしまうのではないか?
以前の日記で指摘しましたが、理科のアンモニアの噴水実験でもそうです。
「フラスコ内のアンモニアが水にとけると気圧が下がって〜」
なぜ気圧が下がる、というのが当たり前のような前提条件になっているのか?
これでは生徒の「なぜ?」の力が衰退してしまう、、、
人間の好奇心によって自然科学が発達するとすれば、
このような問題と解答を続けている限り、日本の未来は暗いものになってしまいます。
学校も授業時間が減って、教科書も薄くなり、大変だと思うのですが、、、
だからこそ自分のような仕事があるのかな、ちょっと複雑です。。。