開成高校入試問題を買ってみました。
買おうか、買わないか1日悩みましたが、
結局、研究したい誘惑に負けました(笑)
さて、立ち読みの段階では『合格版定表』ばかり見ていてクラクラしてましたが、
実際に問題をみてみよう、と。
ん?
思った程でないな、これは。
普通に解ける問題が結構あることを発見。
これまた東大の入試問題と同じで、私が担当する生徒にも解けるレベル!
(学校で半分より上の学力の生徒は1人もいません)
『自分には一生、縁が無い世界』だと思ってましたが、
一気に身近になってきました。
(そうは言っても数・英は難しいと思います)
以下に一例を。
平成17年度 社会 大問の一番の問2
世界地図が4種類。
それぞれの図法の名前を覚えるのは容易。
しかも、それを問われているのではありません。
設問は『航海に最も役に立つ地図はどれか?』
正解は『ア』のメルカトル図法。
はっきり言ってボーナス問題。
地図の名前さえ知らなくても正解します。
自分がコロンブスになったつもりで、地図を見る、そして自分が一番、役に立ちそうな地図を持っていくとしたらどれか。
そんな想像をしてみるといいかもしれません。
それなのに、単なる暗記ばかりで、やれメルカトルだ、グードだサンソンだとか覚えさせられるからつまらないのであって、
『よーし これから 君と一緒に航海に行こう。時代は大航海時代のスペインだ。俺が国王を説得して資金を調達した。まずは必要なものを街に買いに行こう。で、君、何を買っていいか教えてくれ』
そうやって授業をすれば、楽しく覚えられるのではないか?
実際、このように私は授業している訳ですが。
世界3大発明の一つと言われる『羅針盤』
これがいかに航海に役にたったか。
同様に、地図がどれだけ役にたったのか。
自分が果てしない大海原に漕ぎ出したつもりで色々想像してみると、好奇心が刺激されてたくさんのことを覚えられるのではないか?
私自身、そうやって色んな想像をしてみる子供でした。
なので、今、担当する生徒には『目先の点数にこだわる点取り虫になるな』と厳しく言っています。
公立中学校の定期テストで100点取ってうれしい。
それは私もうれしいのですが、
それが、本当の学力なのか、思考力なのか、といえば別の話。
事実、開成の平成18年度の国語の問題は平均点27.2点、合格者平均点36.7点。
ちょっと気の利いた大人なら、それほど苦労せずとも30点以上は得点できます。
正直、15歳でこの問題は厳しいと思います。
読書の量、人間関係にもまれる、思考能力、論理の力、
これらを高いレベルで求めても15歳ではムリだと思います。
実際、相当なる勉強量にてテクニックを身に付け、英語と数学を得点できたとしても、
国語でこの点数では、、、
ここに15歳の、ある意味限界を見ました。(言い過ぎかもしれませんが)
国語は『ごまかし』がきかない教科。
開成の問題の場合、高いレベルの記述式に慣れていないと得点できない問題です。
小学生低学年から大人が読むような本を読み、理解し、『感想文』のレベルではなく『論文』を書けるように特訓する。
もし、それを塾でやるとするなら、いったいどれだけの強制力が必要なのか?
開成は高校1年の定期テストから東大の問題と同じレベルの問題が出ます。
定員400人中、200人以上、東大に合格する訳ですから当然です。
しかし、幼少期より過剰な詰め込み教育をしたおかげで、
頭は育っても、心が育ってない子供を、毎年、大量発生させている、という側面もあるのではないか?
私は、開成に入学できるレベルでなくてよかったと思います。
彼らが将来、いや、今もそうですが、多くはキャリアとして働いています。
幼い頃から、勉強では負けたことない人達が決めた政策。
皆さん、納得できますか?
一例をあげれば『ゆとり教育』などは失敗もいところ。
別に開成出身者でも、立派な方はたくさんいると思います。
しかしながら、幼少期の詰め込み教育は、健全な精神が育たない可能性があることを、
親御さん達には肝に銘じて欲しいと思います。