考える、ということ(Part5)

先日、生徒より『バブル崩壊って何ですか?』との質問。

非常にいい質問です。

哲学では『問い』こそが最も重要とされています。

良質な問いこそが、本質へ近づく第一歩。

いや、『第一歩』どころでなく『全て』なのかもしれません。

そんな訳で『バブル崩壊

『では、国語辞典で「バブル」を調べてみよう。
おそらく、一番目の意味は君が意図していないことが書いてあるぞ。そう、泡だな。』

『はい 突然だが、方丈記の冒頭の部分を暗唱してみろ。』

よし、できたな。

『そこで「泡」が出てくる一節を再度抜き出して暗唱してくれ』

「よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつむすびて、久しくとどまりたるためしなし」

『そう。この部分がこれから説明する『バブル崩壊』のイメージに重なっていくんだ』

この時点で5分経過。

今日も予定の時間を過ぎそうな予感。

(面倒なので以下会話文の『 』は省略)

時は中世ヨーロッパ、1600年代のオランダ。

品種改良を重ねたチューリップ、これがヨーロッパで大人気となった。

それを受けて球根の価格が異常に高騰したんだ。

これが世界史上、最古のバブルという説がある訳だが、

球根が投機の対象になってしまったんだな。
(投機を辞書で調べさせる)

『俺はこの球根100個を100万で買う!』

『いやいや、俺は150万出すぞ!』

こういう感じで価格が上がっていった。

中には、球根を買った権利をさらに高値で転売して儲けよう、とする奴も登場。

こうなると、価格は一気に上がる訳だ。

最高値は、今の値段に換算すると球根1個4000万!

ちなみに『価格が上がる』と『価格が高騰する』

表現のイメージが微妙に違うことに注意してくれ。

前者は比例的、後者は幾何学級数的イメージだな。
(図に描いて説明)

この幾何学級数的な増加、これは三年生の数学でやるから、覚えておいて。

しかし、考えてみると、これだけ人気が出たチューリップ、

たくさんの人が買って、世の中に出回ったら、

その価値はどうなる?

そう、価値は下がる訳だな。

いいか、ここが重要だ。

バブル崩壊』の辞書の解説、そこに『実体を越えた〜』という表現あるだろ?

まさに、このチューリップの異常な価格は実体を越えてしまった訳だ。

『別に、この花も珍しくなくなったな。なんでこんな値段すんだろう?』

こうなると、一気に価値が下がりはじめる。

そう これがバブル崩壊

結局、オランダは経済破綻してしまった。

それ以降、世界の金融の中心はイギリス(ロンドン)に移っていった、、、

どうだ? 理解できるか?

基本的には価格は需要と供給の関係で決まる。

若干の『付加価値』という概念があるにしても、だ。

ちなみに、この『付加価値』は『ブランド力』と関係している訳だが、

それは長くなるので、また別の機会に。

さて、ここまでがイントロ。

いよいよ日本の『バブル崩壊』の説明に入るぞ。


〜以下、相当、長くなりそうなので省略〜

A4の紙にびっしり説明書きをしながら、さらに30分。

その後、理解度チェックで何問か質問しましたが、

かなりの程度の答え。

というか並みの大人の解説より詳しい回答。

これなら記述式の問題や応用問題にも対応できると判断。

私は、普段の授業から相当の早口で話しています。

生徒には限られた時間に、できるだけ多くの情報を伝えたい、

そして、その速さについてこれる耳と頭を育てたい。

持論ですが、英語のヒアリングだけでなく、

早いテンポの会話についていける生徒は情報処理能力が高く、

国語の力があるのではないか、と推測。

実際、私の担当する生徒の県内業者テストの結果を見ると、

学校の定期テストで一桁(100点満点で)の生徒が

なぜか6割以上の得点していたりして、もしや関連性があるのではと思ったりして(笑)

そういう生徒が複数います。


国語の教科書は開いた形跡無し、あるいはパラパラ漫画のらくがき帳、

という生徒が平均を上回っている、、、

これは、、、まだ確定でないので、統計とりますが。

しかし、これらの生徒に共通しているのは、

学校の先生にすすめられなくても、本を自分で借りて(買って)読んでいること。

私は初めて担当になった初回の授業では

必ず本棚を見ます。

ああ、こういう本に興味があるんだ、と。

まあ ほとんどが漫画な訳ですが(笑)

なかには以外なラインナップも。
(例えば、数億年後の世界を予測した本など)

しかし、あえてそれには触れません。

生徒が自分に『これなんですけど、知ってますか?』

などと言ってきた時のみ反応。

その時にいかに関連の話をできるか。

生徒の部屋で一瞬でも目に入った本、

そのタイトルを覚えておいて、家で調べます。

作者、内容、関連本 etc、、、

いつ質問がきても答えられるように準備しておきます。

質問されなかったら、その努力が無駄?

いいんです。少なからず、自分の知識になりますから。

今日も 明日も あさっても、

生徒の好奇心を満足させられるよう、

努力していきたい、そう思います。