熱くまじめに

8/20 日本経済新聞 『交遊抄』より

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35年前の早春、神奈川県立横浜翠嵐(すいらん)高校の入学試験会場で、受験生同士のたわいもない会話に、ひときわ熱っぽく、まじめに答える青白い顔をした青年がいた。高校に進学すれば、いろいろな人がいるもんだと感心した覚えがある。その青年こそ『夜回り先生』として青少年の非行や薬物の問題に取り組んでいる、元高校教諭の水谷修君である。

在学中は同じクラスにならなかったが、私の所属していた硬式テニスクラブの仲間と彼の家に泊まるなど親交を深めた。彼の家で泡盛のような強い酒をこっそり回し飲みするなど、お互い素行はあまり褒められたものではなかったと記憶しているが、幸い我が校のモットーは自由と自律を重んずる『大平凡主義』。そんな学生でも優しくはぐくんでくれた。

四年前の同窓会で彼と再会した。お互い髪型や体型はすっかり中年になったけれど、彼の『熱っぽく、まじめに』語るさまは、高校時代と変わってはいなかった。その後は、教育現場での体験を集会で語ってもらったり、彼が直面した教育問題について、どう解決するかを一緒に悩んだり。今ではすっかり『熱っぽく、まじめに』付き合う仲になってしまった。

浜田 昌良
はまだ・まさよし(参院議員)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%9C%E7%94%B0%E6%98%8C%E8%89%AF

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